ダイヤモンド

ダイヤモンドの飛びぬけた硬さは古くからよく知られ、工業的にも研磨や切削など多くのことに利用されている。モース硬度はダイヤモンドを最高値 (10) として作成されており、ヌープ硬度でも飛び抜けて硬いことが知られている(理論的には、ダイヤモンドの炭素原子が一部窒素原子に置換された、立方晶窒化炭素はダイヤモンド以上の硬度を持つと予測される)。モース硬度は摩擦やひっかき傷に対するものであり、宝石の耐久性の表し方は他にも靭性(じんせい)という割れや欠けに対する抵抗力などがある。ダイヤモンドの靭性は水晶と同じ7.5(かなづちで上から叩けば粉々に割れる程度)であり、ルビーやサファイアの8よりも低い。

 

この硬さは、炭素原子同士が作る共有結合に由来する。ダイヤモンドでは1つの炭素が正四面体の中心にあるとすると、最近接の炭素原子はその四面体の頂点上に存在し、それそれが sp3 混成軌道によって結合しており、幾何的に理想的な角度であるため全く歪みが無い。この結晶構造を持つダイヤを立方晶ダイヤとよぶ。一方で、炭素の同素体であるグラファイト(石墨)は、層状の六方晶構造で、層内の炭素同士の結合は sp2 混成軌道を形成している。この層内では共有結合を有し結合力は比較的強いが、層間はファンデルワールス結合であるため弱い。六方晶の構造を持つダイヤも存在するが、不安定で地球上には隕石痕など非常に限られた場所でしかみつかっておらず、0.1ミリメートルを超える大きさの単結晶は存在しない。よってその性質にはまだわかっていないことも多い。

 

ダイヤモンドは、普通の物質や道具では傷つけられないと思われているが、決して無敵の鉱物ではない。「結晶方向に対する角度も考慮し、ごく小さな範囲に瞬間的に大きな力を加える」、「燃焼などの化学反応を人為的に促進する」などの方法で壊すことができる。また、高温下では一部の物質と化学反応を起こすことが知られている。加えて、「一定の面に沿って割れやすい性質(劈開性)」がある。

また、ダイヤモンドは熱伝導性が非常に高い。バンドギャップは5.5eVの絶縁体であるが、不純物を添加することにより半導体化の試みがなされている。